保健婦活動—こころに残るこの1例
大社町の「健康と環境を守る会」発足
勝部 かつこ
1
1前島根県出雲保健所
pp.732
発行日 1991年10月15日
Published Date 1991/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900448
- 有料閲覧
- 文献概要
担当している大社町の健康づくり地区組織「日御碕成人病予防実行委員会」が,平成2年4月,名称を「日御碕健康と環境を守る会」と変更した.それは単なる名称変更ではなく,健康づくりの10年の成果であった.
日御碕地区は世帯数約300戸,人口1,300人の漁業と観光を中心とする地区である.昭和53年に脳卒中予防対策に取り組むために活動を始めた頃には,「忙しいのに健康のことなんて」という声が大半だったと聞く.ここでの特徴は,地区のみんなの声を聞きながら活動を進めるために,健康常会と呼ぶ隣保単位の集まりで,膝を交えた話し合いを重視するところにある.健康常会は,普段着を着て出かけることができる,上手に言いつくろわなくても話ができる.そこで自分たちの問題は何か,問題解決のためにどう取り組むのかを話し合って10年が経過した.この間,住民の要望を受けて胃がん・子宮がん・乳がん検診が地元で実施されるようになり,地元役員の熱心な働きかけに支えられて,高い受診率となって現れた.そして子供たちの健康,歯の健康,心の健康と,地区で取り上げる問題はどんどん広がっていった.
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.