エスキュレピウスの杖
(5)第43回世界保健総会余談
麦谷 眞里
1
Masato MUGITANI
1
1WHO本部
pp.568-569
発行日 1990年8月15日
Published Date 1990/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900156
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1.総会の表裏
今回は,1990年5月7日から18日まで開かれたWHOの最高意思決定機関,第43回世界保健総会のことを中心に書こうと思う.そうはいっても,総会そのものについては,日本政府代表団の誰かが帰国後,議題や議事内容について,あちこちに書くことが通例となっているので,私は,もう少し泥くさいことを取り上げてみることにする.
WHO総会は,加盟167力国の人間が集まるので,とてもWHO本部の建物では開催できず,国連欧州本部のパレ・デ・ナシオンと呼ばれる会議場を借りて開催される.WHO本部から会議場までは,歩いて15分ぐらいの距離であるが,総会の開会中は,シャトル・バスが出るのでそれを利用して通うことになる.そうでなければ,自分のオフィスを総会の期間中,まるごと(秘書も書類も)パレ・デ・ナシオンに移してしまう,というやり方もある.実際,総長官房の一部は完全に会議場のある建物に移動してしまう.ところで,このシャトル・バスたるや,大人が6〜7人も乗ればいっぱいになってしまい,しょっちゅう積み残しが出る始末で,急いでいる人は,イライラしていた.
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