日本列島
C型インフルエンザウイルスを細胞から分離—仙台市
土屋 眞
1
1仙台市衛生局泉保健所
pp.732
発行日 1989年11月15日
Published Date 1989/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208051
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インフルエンザのC型は,A型B型と異なり,常在していて一般に軽症で流行することも多くない.鼻汁過多が長期にわたることが特徴とされ,再感染しやすいと言われる.ウイルスは生きた細胞がないと繁殖しないので,ウイルスの分離法としては,発育鶏卵を用いる方法と,細胞を使う方法とあるが,C型では今まで多数の研究者が試みたものの,MDCK細胞(犬腎細胞)を用いた分離がうまくいかなかった.
このたび,仙台市衛生研究所(角田所長)では,C型インフルエンザウイルスを,発育鶏卵から分離しただけでなく,MDCK細胞を用いた分離に成功した.これは世界で初めてであり,近く学会に発表するという.分離・同定には,C型の研究の先駆者である山形県衛生研究所の協力を得たとのこと.また時を同じくして,国立仙台病院でも他の細胞を用いて,C型を分離したと聞く.この細胞を用いた分離方法は,発育鶏卵の使用法よりも,培養されてあるので手がかからず,操作が簡単で時間も短く,安価とのことだ.C型インフルエンザの証明が早くなされることは,防疫上の意義が大きい.
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