特集 東洋医学と公衆衛生
健康づくりと鍼灸
芹澤 勝助
1,2
,
西條 一止
3
Katsu SERIZAWA
1,2
,
Kazushi Nishijo
3
1筑波大学
2(財)東洋医学技術教育振興財団
3筑波大学理療科教員養成施設
pp.173-179
発行日 1985年3月15日
Published Date 1985/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207012
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
■日本人の健康状態とその問題点
1.自覚症状調査による健康状態
厚生省が行った保健衛生調査1)によると「あなたはご自分で健康だと思っていますか」という問いに対して,およそ3人に1人は健康であると答え,12〜13%の人が健康でないと,50数%のおよそ2人に1人がふつうであると答えている.健康でないと答えている12〜13%の数字は国民健康調査2)による有病率とほぼ一致している.
これらの人達に,表1に示す12の自覚症状について過去1ヵ月間における有無を質問すると,平均2.8個の自覚症状があり,女子は3.1個,男子は2.6個であった.図1,2は,12の自覚症状のうち出現頻度の高い上位6個について示した.最も出現頻度の高いのが「疲れたと感ずることが多い」であり,平均45.2%である.労働省が行った同様の調査でも「ふだんの仕事で体が疲れる」と答えた人が64.6%,「神経が疲れている」と答えた人は70.7%であった.日本人の現在の生活は,精神的,身体的慢性疲労状態にあることがわかる.しかも疲労は,図2の年齢階層別の出現率を見ると25歳以降はほとんど年齢にかかわらないことがわかる.2位が「こまかいことが気になる」,3位が「からだの中で痛むところがある」,4位が「階段や坂を登るとどうきや息切れすることがよくある」である.これらの症状はいずれも女性に多く出現するが,6位の「たん,せき」だけが男性に多く,しかも45歳以降に急増してくる.
Copyright © 1985, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.