特集 騒音
騒音訴訟の問題点と環境権
牛山 積
1
Tsumoru USHIYAMA
1
1早稲田大学法学部
pp.475-478
発行日 1982年7月15日
Published Date 1982/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206551
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■騒音問題と法律
騒音問題に対する法律的対応を,対応の視点と技術を考慮して区分すると次のとおりである.第1は,騒音に起因する被害の救済制度である.この中には,発生した被害に対する損害賠償請求と将来にわたる騒音発生行為の停止を求める差止請求に関する法制度が含まれる.第2は,騒音発生行為の規制である.騒音規制法,公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律(以下,航空騒音防止法とよぶ)による航行の方法の指定(2条),地方自治体の条例による規制等がこれに当たる.第3は,騒音に起因する障害を防止,軽減するための事業法である.航空騒音防止法による学校等の騒音防止工事の助成(5条),共同利用施設の助成(6条),住宅の騒音防止工事の助成(8条の2),移転補償(9条),緑地帯等の整備(9条の2),その他特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法,防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律による措置がこれに含まれる.
将来,騒音問題にかかわる訴訟として,行政訴訟が利用される可能性があるが1),現在重要なものは,前記第1で述べた損害賠償請求訴訟と差止請求訴訟である.したがって,本稿では,この2つの種類の訴訟を念頭において考察することにする.
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