特集 地域社会と老人問題
東京東部地域寝たきり老人発見運動
山内 幹郎
1
1(東京)柳原病院
pp.624-627
発行日 1979年9月15日
Published Date 1979/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205920
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■はじめに
寝たきり老人にとって,現代社会はあまりにも細分化・専門化されすぎている.保健・医療・福祉の機構,研究者と現場の対立,専門従事者と住民等々,おそらく上からの機能的組織追求の結果であろうが,こうして作られた組織が下から吹き出し始めた老人の要求に応えていくことが,果たしてできるだろうか.一方では,確かに,地方自治体で多種多様な独自事業が作られてきたし,行政内部の機構改革やプロジェクトチームあるいはボランティアの育成,社会教育の発展などの動きも出始めてきているのだが.東京東部6区(足立,荒川,葛飾,墨田,江戸川,江東の6区)の保健・医療・福祉従事者の自主的組織である「東部地域ねたきり老人実態調査懇談会」(代表=増子忠道柳原病院医師)に集まった従事者は,寝たきり老人発見運動を通じて自分の専門性の追求あるいはジャンルの確立の意味について,意識の百八十度の転換を行ない始めた.
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