特集 地域歯科衛生
歯科大学と地域歯科医療—農村部の問題について
中尾 俊一
1
1城西歯科大学口腔衛生学講座
pp.195-198
発行日 1976年3月15日
Published Date 1976/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205152
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
歯科医療に対する国民の苦情と告発や批判が最近とみに活発となり,各種報道機関により詳しく述べられ,厚生省でも実態を調査し公表された1).国民の今までの歯科保健に対する知識と認識は乏しく,う蝕(むし歯)や歯周疾患(歯肉炎,歯槽膿漏)は病気という認識は薄く(生命に関係ないというだけのことかどうかわからないが),痛くなったり,腫れたり病人感が出てきて初めて受診する姿が多く見られている.
歯科疾患のなかで代表されるう蝕や歯周疾患は,多くの人たちが罹患し2),医療需要の増大から供給体制が整わず,社会一般として患者の救済が一義的に考えられ,歯科保健が今までのように治療偏重で進むのであれば,問題は解決しない.国民の歯科保健に対する関心は高まり,要求は多面化し,現行の医療制度や健康保健制度に改善を望むなど自発性をもつ行動がおこなわれ,歯の健康問題に目が向けられつつある.今こそ地域歯科保健が総合的保健サービスであることを再認識し,徹底した歯科衛生教育を健康教育と平行して押し進め,地域住民の要求に応える必要がある.
Copyright © 1976, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.