特集 危険な日用品
食品用容器包装の衛生問題
藤居 瑛
1
1東京都立衛生研究所
pp.673-681
発行日 1973年10月15日
Published Date 1973/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204736
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食品の容器包装としては,古くは,木の葉や,竹の皮その他木製,陶器,金属製品などが使われていたが,近代になって石油化学の発達にともない,プラスチック材料が私達の日常生活の中に広範囲に応用され,大きな有用性と有害性をもたらしてきた.
食品包装についてみると,ポリエチレンフィルムとセロハンを積層したポリセロなどのようなすぐれた簡易軟包装ができたことによって,インスタントラーメンをはじめとする各種のインスタント食品が伸展普及したといっても過言ではない.また,かつては,小売店の店頭で小分け,秤り売りされていた味噌,塩,砂糖類もポリエチレンや塩化ビニルフィルムなどを利用して小分け包装を製造元や輸入先で直接するようになり,小売店における取扱いを簡便にするとともに人の手による細菌汚染あるいは,塵埃混入などによる汚染を防止することに役立っている.しかしながら,その一方で,新しい材料の出現とその応用は,それぞれの特性を活用しているとはいうものの,これが化学的合成品であるという点から,衛生的に有害性はないか,食品への移行性があるか,ないか,内容食品との反応はないであろうか,などが問題となる.万一配合添加剤や加工方法,使用方法などの適性,適格がえられないときには,衛生上の危害が発生するおそれがある.
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