特集 公害に挑む
公害・企業・政治
山田 信也
1
1名古屋大学衛生学教室
pp.290-298
発行日 1971年5月15日
Published Date 1971/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204260
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まえがき
編集者は,「公害・企業・政治」と題して,今日の「公害」をめぐる批判を求めた.今日の日本の「公害」が,この編集者の提示したごとく,企業における安全・衛生をかえりみない生産と,これを支える政治との深いかかわりあいのもとにあることは多くの人びとの理解するところとなった.
日本の資本主義発展の基本的な指標である工鉱業生産の伸びは新安保体制の発足した1960年を100とすると,9年後の1968年には273である.この数字は同じ期間のイタリヤ175につづくオランダの173,カナダの164,アメリカの152,西ドイツの150,インドの148,フランスの145,ベルギーの144など主要資本主義国をはるかにひきはなしており,いわゆる「高度経済成長」のすさまじさを示している.日本の政治は全体として,この成長を支えるための政策を国,自治体のレベルで強力に展開してきた.
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