綜説
新都市造成と保健・医療・福祉サービスの総合計画—新しい型のHealth Center構想
朝倉 新太郎
1
1大阪大学医学部公衆衛生学教室
pp.659-663
発行日 1960年12月15日
Published Date 1960/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202346
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はじめに
現在,保健所のあり方をふくめて,わが国の保健と医療の体系をどう整備するかということが各方面で論議されている。有用な議論を積み重ねて,冷えきつた保健と医療の関係があるべき姿に立ち返えることを何人といえども渇望するものであるが,議論が議論倒れに終らないためには,当面可能な範囲で,当事者相互の話し合いと協同行動を通じ,1つ1つ論理の正しさと,たしかさを検証するという,実証的態度がもつと重視されねばなるまい。その意味で,日本医師会のいう地域社会活動や共同利用施設,保健所の型別再編成,社会福祉協議会が主唱する保健と福祉の地区組織育成,保健所と国保の共同保健計画など,めいめいの思惑は別として,それ自体たしかに前向きの姿勢であり,真剣にとりくむべきプログラムといえよう。特に,大規模な団地や,ここで紹介するNew Townの如く,すべての面にわたつて新しい生活設計が可能なCommunityにおいては,大胆に,意欲的な保健と医療と福祉の総合計画をたて,これを推進する必要性と,またそれを可能にする条件があるのではあるまいか。
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