特集 第1囘公衆衞生學會研究發表
第1日目
研究發表
8)熱帯縞蚊の牛深町(熊本縣天草郡)棲息に就いて
小栗 一好
1
,
小林 和夫
1
1熊本醫科大學衞生學効室
pp.17-18
発行日 1947年12月25日
Published Date 1947/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200216
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昭和19年10月下旬,當時デング熱の流行しありし牛深町に於て,コンクリート製防火用水槽より,我々は從來内地に於けるデング熱傳搬蚊と目されて居りしヒトスヂシマカに酷似せる小形縞蚊の棲息を發見し,分類學的に之を檢索せる結果,本種はAëles aegyti Linnaeus(ネツタイシマカ)なる事を確認せり。爾來,昭和22年5月下旬迄,不定期なれど毎年牛深町に於てネツタイシマカの棲息を観察し得たるを以て,本種が牛深町に定着しつゝあるものと思考す。而して牛深町に於ける昭和16年-21年の6ケ年の各年平均氣温及び本種の無動期たる5月-10月の6ケ月の各月平均氣温,更に結霜を殆ど認めざる事より,牛深町は本種の恒久的棲息地たり得べく,熱帶性昆蟲なるにも拘はらず本種の適應性と棲息條件の具備如何に依りては今後牛深町以外の地域に於ても機會を得て,移入されなば棲息可能の地域もあり得べしと思惟され,更に研究調査の要ありと思考す。尚お九大操内科,鹿兒島醫専宮崎教授及び我々の調査の結果,現在迄,福岡,佐賀,長崎,鹿兒島,宮崎各縣に於ける諸港灣都市竝に主要都市に於て未だ本種の棲息を全く認めず,唯牛深町に於てのみ認め既に4ケ年の間絶滅する事なく棲息し居るは,醫用昆蟲學上興味深きものありと思考し報告する次第なり。
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