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あとがき・次号予告
高鳥毛敏雄
pp.258
発行日 2011年3月15日
Published Date 2011/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102071
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特集のメインテーマを「子どもを護る」とさせていただきました.子どもを社会として「保護」することが今日,あらためて問われてきていると考えたからであります.子どもを護ることについて全社協の『民生委員制度40年史』の中に,貧困な子どもを保護する民生児童委員制度をつくるに至った経緯が書かれています.
「大阪府知事,林市蔵が大正7(1918)年秋の夕暮れ,府下のある理髪店で散髪していた鏡に写る街の風景を見ているとある一点に釘付けになった.40歳くらいの母親と女の子が夕刊を売る姿であった.散髪を終えた後,その夕刊売りに近づき1部買ったあと,一言二言話しかけ,その足で近くの交番に立ち寄り,夕刊売りの家庭の状況を調べさせた.母親は,夫は病に倒れ,3人の子どもを抱え,夕刊売りでやっと生計を立て,子どもたちは学用品を買えず,学校にも通っていないことがわかった.林は自らの幼いころの貧しい生活を思い起こし,しばらくは目を閉じた.このような母子は他にもいるはずだと調査を命じ,それに基づき地域別に委員を置き,生活状況の調査と救済などの実務にあたらせる制度を創設した」(一部改変).
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