特別寄稿
厚生労働省「診療情報の提供等に関する指針の策定について」への疑問
田邉 昇
1
Noboru Tanabe
1
1中村・平井法律事務所
pp.148-149
発行日 2004年2月1日
Published Date 2004/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100767
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◆診療録開示の流れ
診療録の開示については,医師と患者の信頼関係構築という観点から,国や自治体あるいは,民間各医療機関がそれぞれ独自に開示制度を整備してきているところである.殊に近時は財団法人日本医療機能評価機構による評価項目として,診療録等の開示システムが必要とされている.このため,診療報酬と病院機能評価との連動を危惧する病院が,診療録の開示システムを早急に確立させようという動きがみられている.そのせいか筆者も最近,開示システムの構築についての相談に携わる機会が多い.
診療録の開示について,日本医師会は平成11(1999)年に「診療情報の開示に関する指針」を出したが,さらに平成14(2002)年10月に「診療情報の開示に関する指針第2版」(以下,日医指針)を発行し,開示についてのガイドラインを定めている.国も最近「診療情報の提供等に関する指針(平成15年9月26日医政発第0912001号)」および「診療情報の提供に関する指針運用細則 (平成15年9月26日病院発第0926001号)」によって,平成13(2001) 年作成のガイドラインを変更している.また,国は各都道府県知事に対して,「診療情報の提供等に関する指針の策定について(平成15年9月12日医政発第0912001号)」と題する通達(以下,通知)によって開示指針を作成することを示している.なお上記日医指針,通知は,下記の URL にて閲覧可能なので,本稿では割合する.
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