書評
がん診療レジデントマニュアル 第10版
南 博信
1
1神戸大学大学院・腫瘍・血液内科学
pp.298
発行日 2026年3月25日
Published Date 2026/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.055704330610030298
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『がん診療レジデントマニュアル 第10版』が出版された.初版が世に出たのが1997年なので28年の長きにわたり利用されていることになる.本書のようなマニュアル,ハンドブックは数版を重ねることはあっても10版まで続くのはまれである.それだけ本書が良い本であることが理解できる.本書は各がんの疫学・診断から治療までを網羅しコンパクトサイズにまとめているため,白衣のポケットに入れベッドサイドで知識を確認するために便利に活用できる.国立がん研究センターの内科医が編集しているので,各がんの外科治療や放射線治療にも簡単に触れられているが,治療は薬物療法を中心にまとめられている.がん薬物療法に携わる内科医が良く利用しているのも理解できる.
本書は標準治療を要領よくまとめているので知識を手軽に確認できる.そのため,日本臨床腫瘍学会のがん薬物療法専門医試験の会場で,本書で直前に知識の確認をしている受験生を多く見かける.本書で試験勉強をしている人もいると聞く.しかし,本書は日常がん診療で素早く知識を確認するために使用するには良いが,がん薬物療法の基本的考え方,原理・原則を学ぶためには書かれていない.あくまでも知識の整理・確認のためのマニュアルであり教科書ではない.試験前に知識を確認するのは良いが,がん薬物療法・腫瘍内科学の本質はきちんとした教科書で本質を学んで欲しい.

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