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本誌で直腸・肛門部病変が取り上げられるのは今回で6度目である.直近で取り上げられたのが第53巻7号(2018年)であり,それから7年が経過した.外科(肛門科を含めた)の専売特許だった直腸・肛門部に興味を持つ内科医が増え,直腸・肛門管疾患の鮮明な内視鏡画像も報告されるようになった.かつては肛門病変の写真は肛門鏡を入れた状態,あるいは手術中の写真撮影によるもので,すなわち肉眼写真が中心であった.しかし内視鏡画像機器の長足の進歩により,近年では非常に鮮明な直腸・肛門部の内視鏡画像を撮影し共有することができるようになった.さらに色素撒布像や拡大画像など,自由自在である.また以前は直腸・肛門部病変の診断は肉眼所見に頼っていたが,今では内視鏡検査が大きく貢献している.これは外科手術でも同様で,かつては天井近くに吊るして固定したビデオで開腹手術を撮影していたが,画像技術の発展によって,近年では腹腔鏡下手術やロボット支援手術でより鮮明な近接像を撮影・共有することができ,全国的に手術レベルの向上と均てん化が進んだ.
本誌第22巻3号(1987年)の序説で,恩師の武藤徹一郎先生が“胃腸疾患には精通していても,直腸・肛門疾患はあまり得手ではない消化器専門医が少なくないのではないか”と指摘された.しかしそれから40年が経過し,直腸・肛門部領域において消化器内科医の存在感が明らかに増している.本誌の直腸・肛門部特集号を調べると,内科医執筆論文/全論文の割合は,第12巻3号では0%であったが,第22巻3号で43%,第38巻9号で27%,第45巻8号で46%,第53巻7号で59%,本号で60%であり,既に半数を超え中核をなしている.特に消化器内科医の論文内の内視鏡画像は美麗であり,拡張像,NBI像の提示もあり,肉眼でしか見ることのない外科医・肛門科医にとっては新たな知見を得ることができる.消化器内科医には,これまで以上に直腸・肛門部領域に関わっていただくことを期待している.

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