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がん診療を行う全ての医師のための実践的で携帯可能な書籍
『がん診療レジデントマニュアル 第10版』の刊行を聞いて,とてもうれしく思う.本書は1997年の初版以降,がん医療に携わる多くの医師や医療スタッフのベストセラーである.本書が求めるロジックは初版より変わりはないが,内容は大きく変化している.なぜなら,がん医療はこの30年間で大きく変化しているからである.がん医療は,エビデンス(科学的根拠)に基づいた医療(=EBM)を最も重要視し,その上で実際の目の前の患者さんの身体状態,年齢,ライフステージ,主要臓器機能,社会的背景,価値観・希望などについても十分に考慮し,患者の利益と不利益のバランスの上に決定される.最新のエビデンス(通常は,質の高い大規模臨床試験の結果による)から示される,標準治療は年々変わっていく.本書は,各がんの種類に対する最新の治療について,エビデンスをベースに,わかりやすく,また,実践的に記載されている.疫学,診断,病期,予後因子,治療法と適応など,項目については初版から変わることなく大変わかりやすいが,その内容は最新のがん治療そのものである.
がん医療は大きく変化した.手術は,縮小手術,胸腔・腹腔鏡手術,ロボット手術など根治性,精密性とともに低侵襲性が求められるようになった.放射線治療は,強度変調治療,粒子線治療,画像誘導治療などの最新技術により,照射部位のがん制御のみならず,根治性の向上,高精度化,薬物療法との併用や有害事象の軽減が進んでいる.がん薬物治療は,分子標的薬剤を主とする最新の抗がん剤開発,ゲノム医療(遺伝子・ゲノムの状況に応じた個別化)の進歩,副作用軽減のための薬剤の発展など,臨床成績の著しい向上をもたらすと同時に,より専門的で複雑化している.そのため,がん医療に携わるそれぞれの医師にとって,最新のエビデンスに基づいた治療内容をコンパクトにまとめている本書は大変に役に立つ.名称に「レジデントマニュアル」とあるように,当初は,がん専門医をめざす若きmedical oncologistのバイブルとなるべき書籍として作られたが,いまや,広くがん治療に携わる全ての医師や医療スタッフが,ポケットに入れておきたい本となっている.

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