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はじめに
オンライン診療が普及する中で,医師と患者とのコミュニケーション方法にバリエーションが広がっています.ベッドサイドマナー(bedside manner)は,臨床において,患者と良好な関係を確立し,維持するために必要な医師の患者に対する接し方,態度を含むコミュニケーション・スキルです.日本では1990年代から2000年代にかけて,全国の医学部での教育にOSCE(Objective Standardized Clinical Examination)が取り入れられるなかで,医療面接のスキルとして,また,ベッドサイドでの振る舞いについての臨床実習前教育として医学教育に取り入れられてきました.
近年,オンライン診療がコロナ禍を通じて加速度的に普及したなかで,直接対面することが難しい場合でも,患者に安心感と信頼感を与え,質の高い医療を提供するために必要なスキルである「ウェブサイドマナー(webside manner)」の重要性が高まっていると私は考えています.現在,日本において保険診療でオンライン診療を行うためには,厚生労働省の定めた「オンライン診療の適切な実施に関する指針」において,医師は,オンライン診療に責任を有する者として,研修を受講することが義務とされています1).しかし,この研修の大半は制度面の解説に終始しており,実際の診療の質をどのように向上させていくかについての内容はごく一部に限られています.巷にも,こういったスキルに係わる内容はわずか,あるいは散在しているだけで,まとまった形のものはほとんどありません.充実したオンライン診療を行うためにはこうしたスキルの体系化が重要ではないかと考えました.本連載では,オンライン環境における医療コミュニケーションのポイントや,効果的な方法について具体的なアドバイスを海外のガイドラインを参考にしながら紹介していきます.

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