Derm.2025
皮膚科医として遠隔医療を考える
福本 毅
1
1神戸大学大学院医学研究科内科系講座皮膚科学分野
pp.172
発行日 2025年4月10日
Published Date 2025/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.002149730790050172a
- 有料閲覧
- 文献概要
コロナ禍は社会全体に甚大な影響を及ぼし,多くの人々が苦境に直面しました.一方で,急速に進展したオンライン技術の活用は,医療をはじめとするさまざまな分野で重要な役割を果たすようになりました.この技術の変化は一過性のものではなく,今後さらに発展し,社会や日常生活に深く浸透していくことが予想されます.特に医療分野では,診療や教育にオンライン技術を導入することで,地域医療の課題解決に寄与する可能性があります.医師の偏在や高齢化社会に伴う課題に対して,遠隔医療や医療MaaS(Mobility as a Service)が解決策として期待されています.これにより,高齢者や移動が困難な患者にも質の高い医療を提供することが可能となります.特に皮膚科診療においては,診断・治療の多くが視覚的な情報に基づいて行われるため,遠隔診療の有効性が高い分野の1つです.オンライン診療の普及は,医師不足の解消や地域医療の格差是正に貢献し,医療全体の質の向上につながることが期待されます.超高齢社会に直面する日本において,オンライン技術の活用は地域医療の充実に大きく貢献すると考えられます.本格的なオンライン診療を推進するためには,適切な規制の整備や患者の不安を解消するための取り組みが不可欠ですが,皮膚科診療がこの分野で先駆的な役割を果たすことができるのではないかと期待しています.
Copyright © 2025, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.