Derm.2025
初診診療での心がけ
岸本 泉
1
1関西医科大学皮膚科学講座
pp.106
発行日 2025年4月10日
Published Date 2025/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.002149730790050106b
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若手の頃は,外来診療で自分が知らない疾患が来たらどうしようという不安が常にあり,初診の患者を呼び込むときは緊張したのを今でも覚えている.毎年若手医師が外来デビューするたびに,その緊張感がこちらにも伝わってくる.今では,疾患や病態が何かわからないことへの不安はあまりなくなり,むしろ目の前の患者さんに向き合う使命感が強くなってきたことに成長を感じている.しかし,初診の患者を呼び込む際の緊張感は今でも変わらない.それは,その人のパーソナリティーがまだわからないことへの警戒心があるからだ.土地柄か,廊下にて大声で不満を訴える人,強い口調だが実は優しい人,おっとりしていると思ったら突然攻撃的になる人,反対に泣き出される人など,さまざまな方が訪れる.初めて会った瞬間に,その人のキャラクターをできる限り読み取り,対応の方針を立てる必要がある.呼び込みから荷物の置き方,自己紹介時の反応,椅子に腰掛けるまでの言動や仕草まで,細かな観察を心がけながら診療に臨んでいる.この初対面の瞬間の情報を逃さないことが,外来診療において最も基礎的なところであるが最大の難問だと日々感じている.
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