症例
遺伝子検査で診断に至ったalveolar capillary dysplasiaの1例
増田 怜史
1
,
浅沼 賀洋
,
古田 千左子
,
児玉 洋平
,
山田 浩介
,
中澤 祐介
,
伴 由布子
,
中野 玲二
1静岡県立こども病院 新生児科
キーワード:
十二指腸疾患
,
胎児循環遺残症
,
腸閉鎖症
,
変異
,
腹部X線診断
,
致死的転帰
,
遺伝学的検査
,
Alveolar Capillary Dysplasia
,
FOXF1 Protein
Keyword:
Duodenal Diseases
,
Genetic Testing
,
Fatal Outcome
,
Intestinal Atresia
,
Persistent Fetal Circulation Syndrome
,
Mutation
,
Radiography, Abdominal
,
FOXF1 Protein, Human
,
Alveolar Capillary Dysplasia
pp.286-289
発行日 2021年2月10日
Published Date 2021/2/10
DOI https://doi.org/10.24479/J00621.2021190003
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症例は日齢0男児で、胎児超音波検査でdouble bubble signを認め、十二指腸閉鎖が疑われた。臍帯潰瘍の発症を懸念し妊娠36週6日に予定帝王切開で出生した。出生直後より自発呼吸、筋緊張ともに良好であったが中心性チアノーゼを認めたため、フリーフロー酸素投与を行った。新生児一過性多呼吸と診断し、酸素投与を行った。先天性十二指腸閉鎖、腸回転異常と診断し、日齢1に十二指腸吻合術、Ladd手術を施行した。手術後より血圧低下、SpO2の上下肢差が顕在化した。心臓超音波検査で右心室の拡大と動脈管の右左シャント血流を認め、新生児遷延性肺高血圧と診断した。気管挿管・人工呼吸管理を継続し、一酸化窒素吸入療法、カテコラミン持続点滴を開始したが酸素化が改善せず、エポプロステノール、アルプロスタジル(Lipo-PGE1)持続点滴、ハイドロコルチゾンも開始した。日齢7に一時的に酸素化の改善を認め治療を漸減できたが、日齢9に再度酸素化が悪化し、デキサメタゾン、シルデナフィル、ボセンタンなどの治療を追加したが効果なく、日齢13に死亡した。難治性の肺高血圧症および先天性十二指腸閉鎖の合併からalveolar capillary dysplasia(ACD)を疑い、生存中の保存血液を用いて死亡後に遺伝子検査を施行した。FOXF1遺伝子に既知の病的バリアントNM_001451.2を認め、ACDと確定診断した。
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