尿細管トランスポーターの機能制御と疾患治療-トピックス
Bartter症候群・Gitelman症候群 遺伝性塩類喪失性尿細管機能異常症(salt-losing tubulopathy)
野津 寛大
1
1神戸大学 大学院医学研究科内科系講座小児科学
キーワード:
Bartter病
,
低カリウム血症
,
低カルシウム血症
,
尿細管輸送異常-先天性
,
分類
,
用語法
,
遺伝的素因(疾患)
,
Gitelman症候群
,
アルカローシス-代謝性
,
低マグネシウム血症
,
病態生理
Keyword:
Bartter Syndrome
,
Classification
,
Hypokalemia
,
Hypocalcemia
,
Terminology as Topic
,
Renal Tubular Transport, Inborn Errors
,
Genetic Predisposition to Disease
,
Gitelman Syndrome
pp.237-244
発行日 2013年7月1日
Published Date 2013/7/1
DOI https://doi.org/10.19020/J02201.2013285826
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Bartter症候群(BS),Gitelman症候群(GS)は,低カリウム血症,代謝性アルカローシスなどを特徴とする先天性尿細管機能障害に伴う症候群である.これまで,(1)BSは太いヘンレループに存在するチャネルまたは輸送体の障害に伴う疾患でGSは遠位尿細管に存在する輸送体の障害に伴う疾患である,(2)GSでは,BSでは認めない低マグネシウム血症,低カルシウム尿症を認める,という2点の違いにより分類することが可能とされてきた.しかし,近年の研究の結果,これらの2点はいずれも誤りであることが判明し,BSおよびGSと分類する根拠がすでに完全に失われていることが明らかとなった.そのため,これらの疾患を一つの疾患概念へと統合する必要性が明確になり,すでに一部のグループから,salt-losing tubulopathy(遺伝性塩類喪失性尿細管機能異常症;SLT)と総称する必要性が提唱されている.本稿においては,これらの疾患に関係するこれまでの動向と,SLTという新たな統一疾患概念の必要性の根拠につき解説する.
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