特集 骨脆弱を伴う骨折の治療
骨軟化症の診断と治療
秋山 健一
1
,
花房 規男
1東京女子医科大学 医学部腎臓内科学
キーワード:
Calcitriol
,
Hydroxycholecalciferols
,
骨炎-変形性
,
骨髄腫-多発性
,
骨軟化症
,
鑑別診断
,
アルゴリズム
,
重症度指標
,
骨痛
Keyword:
Algorithms
,
Calcitriol
,
Diagnosis, Differential
,
Hydroxycholecalciferols
,
Multiple Myeloma
,
Osteitis Deformans
,
Osteomalacia
,
Severity of Illness Index
pp.654-661
発行日 2019年7月19日
Published Date 2019/7/19
DOI https://doi.org/10.18885/J00282.2019311540
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骨軟化症は、骨痛、筋力低下、歩行障害を有する、胃バイパス術後、吸収不良症候群、慢性肝障害、慢性腎臓病患者においてその存在を疑い、臨床所見と採血、画像検査にて診断する。他の疾患と鑑別が困難な場合は、侵襲的な骨生検を用いて総合的に診断する。最も頻度の高い疾患は、ビタミンD欠乏による骨軟化症であり、25(OH)Dの欠乏を伴う栄養障害、吸収不良症候群が原因となるが、ビタミンD欠乏患者の全例が骨軟化症を発症する訳ではない。骨軟化症の典型的な採血検査所見は、Ca、P低値、PTH、総・骨型両方のALP高値である。画像所見では、Looser zoneとよばれる特徴的な偽骨折を認めることがある。治療は、骨軟化症をきたす原因疾患で異なるが、ビタミンD欠乏であれば、活性型ビタミンD3製剤とCa製剤を経口で投与して血中・尿中Caモニタリングを行い、Ca過剰に注意する。なお、臨床所見、血液検査所見は治療によって速やかに改善するが、画像所見の改善には数年を要する。妊婦に発症することもあり、また多くは初期症状が筋力低下や骨痛などの不定愁訴であるため見逃されている疾患であり、症状・経過から疾患の存在を疑い、まずは非侵襲的な検査を行うことが重要である。
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