整形トピックス
新規骨形成蛋白BMPシグナル標的遺伝子Atoh8による骨芽細胞分化・骨形成制御
八尋 雄平
1
,
前田 真吾
1
,
小宮 節郎
1
1鹿児島大学医療関節材料開発講座
pp.134-134
発行日 2018年2月1日
Published Date 2018/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei69_134
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骨形成を期待し,ヒト組み換え(recombinant human:rh)骨形成蛋白BMP-2ならびにrhBMP-7が米国食品医薬品局(FDA)に承認され久しいが,広く普及にはいたっていない.原因としては半減期が短いことや,拡散による減少も考えられる.一方で骨芽細胞1),破骨細胞2)でBMPレセプターを欠損させたconditional knockout(KO)マウスでは,骨量が増加することも報告されている.このことは,生体内において生理的にはBMPはいずれも骨量を減少させる働きをすることを示している.人為的なBMP添加による骨形成誘導にはself-limitingと呼ばれるネガティブ・フィードバック機能が示唆されていて,その制御が必要である.われわれは抑制型Smad 6/7にその働きがあることを報告3)したが,骨芽細胞分化成熟過程の中期~後期にBMPシグナルにより誘導される抑制因子の存在も考えなければならない.
われわれはマウス骨髄間質細胞株ST-2にrhBMP-2を添加後,48時間でマイクロアレイを行い,分化中期段階で発現が上昇している遺伝子を検索した.その中で,すでにBMP-Smad 1/5のクロマチン免疫沈降(ChIP)でBMPシグナルの直接標的として報告4)されていたAtonal homolog 8(Atoh8)に着目した.
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