特集 性感染症
扉
中村 造
1
1東京医科大学病院 感染制御部
pp.4-5
発行日 2024年7月1日
Published Date 2024/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika134_4
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実臨床で性感染症を診療する頻度は高い一方で,診療方法,検査の解釈,治療の方法,治療効果判定の実際は「曖昧」であることが少なくない.性感染症に罹患した患者は性感染症の専門医への受診よりもむしろ,プライマリケア・実地医家を受診することが多く,内科医が広くマネジメントする必要がある疾患群である.また性感染症に罹患した患者は,最初に受けた説明を強く信じる傾向にあり,初診時の医師が適切な知識のもとで診療を進め,結果や治療と治癒までの期間などの説明を行うことが必須である.また,他者に相談しにくい疾患群であるからか患者は時に間違った強い思い込みにはまり,ドクターショッピングを繰り返し,過剰な検査や治療を要求することもある.軽微な体調変化や分泌物に対して検査を実施し,軽微な陽性結果が加わるとその思い込みは確信に変化する.近年,SNSやアプリの急速な普及もあり,性行動の拡大や不特定多数との匿名での性行為が広がっている現状もある.
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