発行日 2010年7月20日
Published Date 2010/7/20
DOI https://doi.org/10.15106/J03022.2010272450
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癌診療連携拠点病院における治療チーム・緩和ケアチーム(PCT)、他施設の緩和ケア病棟が連携し、ギアチェンジを行った壮年期癌患者(50代男性。胃癌術後再発)の事例について報告した。患者は可能な限り癌治療を継続したいと希望していたが治療ができるか不安を抱えており、癌治療を継続することは難しいと判断した主治医より相談を受けたPCTの一員である筆者(癌看護専門看護師)らは、患者の疼痛緩和とセルフケアの充実を図り、患者が自分らしく療養生活を送れるよう支援していくことにした。その後、患者の疼痛が激しくなったことから、「病気に負けたくない」という患者の気持ちをくみながらも、残りの時間を大切にすることも重要ではないかと考え、緩和医療中心のケアに移るタイミングを患者、家族と話し合った。その結果、緩和ケア病棟へ転院することとなったが、患者と家族から転院により新たな関係を一から作っていかなければならない不安が表出され、それを受け、筆者と主治医は転院に付き添い、緩和ケア病棟の医師、専門看護師らに筆者らとの関わりの中で表出された患者、家族の希望を直接伝えた。転院先の緩和ケア病棟では、娘の花嫁姿が見たいとの患者の希望により結婚式が執り行われ、その3日後に患者は旅立った。
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