発行日 2008年11月20日
Published Date 2008/11/20
DOI https://doi.org/10.15106/J03022.2009054007
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肺炎のため根治的な治療が困難で、長らく発熱を繰り返したうえ、白血病細胞の浸潤による胸痛と呼吸困難感が出現し、呼吸不全により死亡した患者(20代後半・男性。急性骨髄性白血病)へのケアについて振り返った。当事例では苦痛症状が十分にコントロールできておらず、看護師は薬剤の種類を選択することに多くの戸惑いとジレンマを感じていた。薬剤について看護師が、患者自身が症状を知り、自己決定することに注目していた(自律の原則)のに対し、主治医はバッドニュースを伝えないという実母との約束に注目していた(忠誠の原則)。さらに、看護師が患者の苦痛をとることを重要視していたのに対し、医師はできるだけ延命すること、体に害となることを施さないことを重要視しており、看護師と医師の間のこのような違いを意識せずにケアを進めたことが問題の一つとして浮き彫りにされた。
©Nankodo Co., Ltd., 2008