腹痛を診る-非専門医に求められる初期診療 疾患各論
下部消化管疾患 血流障害が関与する疾患
鈴木 修司
1
,
下田 貢
,
島崎 二郎
,
梶山 英樹
,
竹村 晃
1東京医科大学茨城医療センター 消化器外科
キーワード:
インターベンショナルラジオグラフィー
,
大腸炎-虚血性
,
腸間膜動脈
,
腸間膜血管閉塞症
,
腹痛
,
マルチスライスCT
,
非閉塞性腸間膜虚血
,
腸間膜虚血
Keyword:
Mesenteric Vascular Occlusion
,
Mesenteric Arteries
,
Radiography, Interventional
,
Abdominal Pain
,
Colitis, Ischemic
,
Multidetector Computed Tomography
,
Mesenteric Ischemia
,
Mesenteric Ischemia
pp.749-752
発行日 2016年10月1日
Published Date 2016/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2016410195
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腸間膜動脈閉塞症は腸間膜動脈の急性閉塞に伴い,広範な腸管虚血・壊死を生じるきわめて予後不良な疾患である.急激な腹痛で発症し,壊死の進行によりショック,腹膜刺激症状をきたす.早期診断がなされれば,IVRによる治療が奏効することもあるが,時間経過が長い場合は外科的治療となる.虚血性腸炎は主幹動脈に明らかな器質的閉塞を伴わない,腸管粘膜の血流障害に起因する腸管の区域性炎症である.突然の腹痛・下痢・血便で発症し,多くは一過性で可逆的であるが,腸管壊死にいたった場合は外科的治療となる.非閉塞性腸間膜虚血症は腸間膜血管主幹部に器質的な閉塞を伴わないにもかかわらず,分節状,非連続性に腸管血流障害をきたす.早期には特徴的な症候はないが,時間経過により,虚血の進行で腹部症状をきたす.早期にはIVRが奏効することもあるものの,多くは外科的治療となる.
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