徹底分析シリーズ 最も古く最も新しい中心静脈ラインPICC
巻頭言
徳嶺 譲芳
1
1千葉メディカルセンター 麻酔科
pp.95
発行日 2014年2月1日
Published Date 2014/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101102035
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- 文献概要
欧米には,中心静脈穿刺を専門に行う医療チームが存在する。Vascular Access Team,通称VATである。重症患者から外来患者まで,さまざまな血管カテーテルを取り扱うVATの重要な戦略ツールの一つに末梢挿入型中心静脈カテーテルperipherally inserted central venous catheter(PICC)がある。PICCは,VATの挿入するカテーテルの約3割を占めている。このVATの活躍により,近年PICCの有用性が明らかになってきた。現在,欧米では,PICCは現代医療に欠かせない中心静脈カテーテルの一つと認識されるようになっている。
実は,PICCの歴史は古い。このため,日本でも以前からPICCを知っていると自負する医療従事者は多い。かく言う筆者もその一人であった。しかし,海外の報告や新しいPICC製品を知るにつれ,認識が間違っていたことに気づいた。
今回,PICCを徹底分析する意義は,PICCの全体像を把握し,そのうえでPICCの有用性を引き出し,同時にPICCの合併症を回避することにある。そして,それができる重要な位置にいるのが,麻酔科医なのである。PICCを避けて通るのは容易である。しかし,麻酔科医がPICCを挿入すれば,医療安全を推進できるだけでなく,PICCの挿入技術を末梢静脈路確保に応用することで,麻酔での大きな技術革新が望めるであろう。
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