焦点 臨床看護に関する研究の動向と今後の課題—20世紀から21世紀へ向けて
クリティカルパスの研究
菅田 勝也
1
,
武村 雪絵
2
1東京大学大学院医学系研究科(看護管理学分野)
2東京大学大学院医学系研究科博士課程
pp.221-230
発行日 2000年6月15日
Published Date 2000/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900559
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はじめに
人口の高齢化と経済成長の停滞という医療を取り巻く環境の変化に対応するため,医療保険制度の抜本的改革が唱えられ,医療機関の機能分担の明確化という政策が進められている。このような医療変革の流れのなか,質が高くかつ効率的な医療の提供という要求に応えるため,医療提供者は様々な模索を行なっている。とりわけ目を引くのがクリティカルパスの急速な普及である。
医療の質の評価で著名なDonabedian(1988)によれば,評価には,構造(structure),過程(process),結果(成果:outcome)の3つの側面がある。たいていの場合,患者は受けた医療を結果で評価する。ところが医療を受ける側が入手できる情報は極端に少ない。したがって,結果の評価は患者や家族という個人的なレベルにとどまっていた。一方,医療提供者内においては,特に看護婦は,自分たちは充分に適切なことをしたかどうか,その過程を中心に評価することが多かった。
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