特集 よい論文とは? おもしろい論文とは?
よい論文とは引用される論文である
掛田 崇寛
1
1関西福祉大学看護学部
pp.466-468
発行日 2016年10月15日
Published Date 2016/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201291
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自身の研究とこだわり
私は,大学在学中から人の痛みに関心があり,大学卒業後,国立がんセンター東病院(現国立がん研究センター東病院)で臨床を経験した。当時は,特にがん性疼痛管理に関心をもち,オピオイドや鎮痛補助薬による薬物療法を中心とした疼痛管理の実践を日々経験することができた。その後,大学院への進学を契機に臨床を離れたが,今日に至るまで,内容の変遷はあるものの,一貫して疼痛管理に関する研究を継続している。また,現在進行中の研究としては,情動調節による疼痛管理の可能性について着目し,検討を行なっている。
研究へのこだわりに関しては,痛みという個人の主観的感覚および情動体験を可視化することを重視し,痛覚関連データの数量化および視覚化に努めている。また,私は人の痛みを中枢レベルで検証することの重要性を特に自覚し,機能的磁気共鳴画像法(functional magnetic resonance imaging;fMRI)を使用して研究を行なっている。fMRIは,ポジトロン断層法や近赤外線分光法,脳波等とならぶ脳機能計測法の1つであるが,他の計測法に比して空間分析能が非常に優れている。また,fMRIでは脳内の痛覚関連脳活動部位や局所ニューロンの神経活動を,血流と血液中ヘモグロビンの酸素化の変化であるblood oxygenation level dependence(BOLD)信号の強度を用いて,非侵襲的に推定することが可能である。
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