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私を導いてくださった方がた
森 茂子
1
1東京警察病院産婦人科
pp.121
発行日 1970年10月1日
Published Date 1970/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661915067
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25年前,看護学校を卒業したての私は,東京警察病院の1階の内科外来で,諸先輩のもとで走り回っていた。8月15日は朝から猛烈な暑さで周囲が空襲で焼け,ただ一つ残った病院には,真夏の太陽がギラギラとはねかえり照りつけていた。全員医局に集まり正午の玉音放送で終戦になったことを聞き,ただボーッとした一日をおくったことだけを憶えている。早いもので,あれから1/4半世紀がたったのだ。配給のおいもを食べながらの検温や,ほうたいも満足にない時代の治療,そして抗生物質のない栄養失調のクランケは,すぐ化膿し,ブドウ糖の注射をすれば悪寒のくる現象など当時のクランケの顔も走馬燈のようにうかんでくる。
あの当時のみなさんはお元気であろうか。秦婦長,阿部主任さん,中西さん,関さん,佐藤さん,長沢医長先生はじめ,酒井先生,唐沢先生,橋詰先生方にはお講義をとうして,治療方針や介助の仕方などをくわしくお教えいただいた。仲よしだった5人グループが希望どうり内科病棟に配属になり,ピチピチとした若さを十分発揮して,窮乏生活のなかにも楽しい毎日であった。
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