クリニックからの発言
フシギなフシギな物語
浦田 卓
pp.100
発行日 1966年9月1日
Published Date 1966/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912883
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さる公立病院の医師や看護婦たちが,サラリーが安すぎるので上げてほしいと病院の理事者に迫ったところ,その理由はと聞かれ,われわれは人の命をあずかる大切な職業だから,ほかの職業の人たちよりも少し上まわるべきだと答えたそうです。すると,病院の理事のなかに農業をやっている人がいて,その理由はおかしい,われわれもお米をつくっているが,もしお米ができなければ人はどうして生きていけるか,人命をあずかっている点ではわれわれも同様である,値上げの理由にはならないといったので,一同感心して反論ができなかったといいます。
この記事を読まれたさる高名な大学教授が,百姓出身のこの理事の意見に賛意を表しておられるのを,ある医学雑誌で読んで,私は亜然としました。
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