扉
サンデーパイロツトならずとも
pp.5
発行日 1955年12月15日
Published Date 1955/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909988
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或る人の旅行便りに,アメリカにおける目下の流行の一つである「サンデーパイロツト」のことが書かれているのを読みました。それは日曜日又は其の他の休日に,或は普通の日でも夏のように日の長い時は,仕事が終つてから,自動車でドライブする代りに,飛行機で空の散策としやれることなのです。この人の旅行記の一端をみると,「私は或日,友人に誘われて其の人の家に夕食を御馳走になることになり彼の車で出かけたら,途中彼はワシントン郊外の飛行場に車をつけて,今日はあまり静かで美しいから,一寸その辺をとび廻つてみようと云う。そして彼と3人の友人の共有する自家用飛行機でヴアージニア州あたりの美しい山野を30分程とびまわつて着陸した。みると会社づとめを終え,家族や愛人をつれて,静かな夏の夕方の飛行をたのしもうとする人達が,続々と離陸していく。日曜日などはこういうサンデーパイロツトたちで,大変なにぎわいだそうである。……」と書いてありました。
15〜6年も前に,私自身,アメリカ留学中に,親切な人とそのボーイフレンドが,クリーヴランドで,小さな二人のりの飛行機にのせてくれて,30分程空中旅行をさせてもらつたことがありました。これは私にとつて,飛行機というものに乗つた最初の経験で,その時は,初めて味うスリルで夢中になつていたわけですが,今,この旅行記をよんで,成程あの時のあれが,サンデーパイロツトなのだとわかつた次第です。
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