発行日 1951年6月15日
Published Date 1951/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906864
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「いゝ子ね,偉い人におなりなさいね」とやさしく頭をなでられてうれしそうにはにかむ幼稚園の子供。偉い人になろう!と其の時小さな心の中に一つの決心をかためるのだと思います。「先生偉いんだよ!」,「マツカーサーは偉いなあ!」と心の底から感歎する純眞な子供の頭の中には,偉い人だと讃えると同時に,自分もそうなり度いとの念願が潜在意識として存在しているのです。
人類が萬物の長として存在する所以は,精神生活の發達にあるのでしよう。緻密な心理作用,眞理を追究する研究心,デリケートな感情等特に目立つものだと思いますが,中でも未知なものに對する探求心といゝますか,高く又深く知ろうとする心の働きが最も強いように思います。自分よりも高いものへの憧れ,自分よりも優れたものに對する羨望,小さな幼稚園の時代からもつているこの思いがやがて向上への努力となつて組織化されていくのではないでしようか。
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