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私はALSという病気により呼吸筋が弱っているため、日中5時間ほどBiPAP(注)を使用したNPPVを行っています。病気が進行すれば、いずれは自発呼吸ができなくなり、気管切開を行うことになりますが、その時期を少しでも先へと延ばすために、NPPVによって呼吸を助け、呼吸筋を休ませながら生活をしています。
幸いまだ何とか立ち上がることができ、かろうじて話も飲食もできるので、気管切開には踏み切れません。というのも、気管切開をすることにより、生活が一変してしまうことが予想されるからです。気管切開を行うと、せっかくギリギリのところで残っている身体の機能をつぶし、寝たきりになってしまうだろうと感じています。
私の病名は、ウールリッヒ型先天性筋ジストロフィー。病名がわかったのはちょうど4年前で、それまでは「筋疾患の何か」ということしかわからなかった。大学4年生(22歳)の頃から意識低下や呼吸のしづらさがあり、低酸素と高炭酸ガス血症による呼吸不全に陥った。それ以降、夜間に人工呼吸器(NIPネーザル)をつけるようになったが、胸郭の硬縮が進行した。その結果、気胸となり、呼吸器の圧を下げたことからさらに胸郭が硬くなり、気胸の再発を繰り返した。2008年に国立病院機構八雲病院の石川悠加先生の存在を知り、受診。新しい呼吸器(レジェンド・エア)を処方していただいた。最近は風邪などによる痰がらみも多く、カフアシストと救急蘇生バックも使用している。
ここでは、NPPVを使用しての生活と、私の生き方について、1人の筋ジス患者として提示したいと思う。
夫の正司は頸椎損傷、妻の由起子はポストポリオ。以前から風邪をひくと咳、痰がなかなか治らず呼吸が弱いことは二人とも自覚していた。昨年10月、由起子が北海道・八雲病院で呼吸器を装着するために入院した際に、付き添いで同行した正司も看病疲れから喘息に近い症状を呈し急遽入院治療を受け、呼吸器を使用するようになった。
由起子の場合
ここ数年、側弯が気になりはじめ、また呼吸量も体重も以前より減少したことは自覚していた。米国のポリオの友人たちが相次いで呼吸器使用者となったのを見るにつけ、自分もいずれかは使用したほうがいいのだろうと漠然と考えていた。筋ジスの友人などからどの病院がいいのかという情報を集めたり、それなりの準備をしていたつもりだった。
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