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人工呼吸器装着中の患者さんに必要な口腔ケア
岸本 裕充
1
1兵庫医科大学歯科口腔外科
pp.324-333
発行日 2006年4月1日
Published Date 2006/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100058
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はじめに
人工呼吸器関連肺炎(ventilator associated pneumonia;VAP)は致死率が高く,その対策は人工呼吸器装着中の患者さんにおいて大変重要な課題のひとつです.米国CDCのガイドラインでは,VAP予防対策として口腔ケアの重要性が強調されています.
たしかに,VAPは口腔ケアとは無関係な要因からも生じますから,口腔ケアを完璧にすればVAPを完全に予防できる,というわけではないでしょう.しかし,少なくとも人工呼吸器装着中の患者さんに口腔ケアが必要であることは間違いありません.なぜなら,意識障害,絶食中であることで唾液の分泌が減少し口腔内の自浄性が低下していることに加え,気管内挿管チューブの存在により誤嚥を生じやすい状況にあるためです.この誤嚥自体を阻止することは容易でないため,口腔ケアによってできるだけ菌量を減少させ,誤嚥した際に肺炎を発症するリスクを少なくする,これがVAP予防における口腔ケアの目標です1).
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