クローズアップ
神戸で,総合的性教育の場"ティーンズ・ライブラリー"を開設した 林 知恵子医師
八木 保
,
本誌
pp.433
発行日 1989年6月25日
Published Date 1989/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207626
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性教育の必要性が言われて久しく,少しずつ深みと広がりが見られるものの,現実には雑誌やテレビに氾濫する性情報・性描写が,相変らず青少年に大きな影響を与えている.社会的経験の浅い若い人の多くは,マスコミや口コミのゆがんだ情報に左右され,自分自身の性や異性について正確な判断ができにくくなっているようだ.
神戸で婦人科のクリニックを開設して5年になる林知恵子医師は,望まない妊娠をして訪れる女子中高校生などの相談にのるうち,現代の病根ともいうべき人間関係の希薄さによって孤立し,誤まった性情報の氾濫から正確な知識を欠いている若者の姿に思いがいたった.医学部在学中の自らの出産体験を原動力として産婦人科医になったという林医師だが,若者に知識を教えこむのではなく,"自ら学ぶ性とからだ"のための空間の必要性を痛感.このたび,本とビデオを中心にしだティーンズ・ライブラリー"をオープンさ。せた.「気軽に集まれる雰囲気をつくりたい.自分の体についても異性の体についてもよく理解してほしい」と語る林医師.息長く活動してくださることを期待してやまない.
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