巻頭随想
奥さま
森 南海子
pp.9
発行日 1968年5月1日
Published Date 1968/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203553
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私は,いわゆる"奥さま"という種族の人々をなぜだか好きになれない.
必要以上にていねいな言葉を使ったり,きどってかん高い声を出したり,また,妙に低くゆっくり話したり,つくり笑いをしたり,へんなポーズで女らしさを売りものにされたりするのはたまらない.礼儀とか作法とかははなはだ結構だが,それらはすべて簡潔で"しな"をつけ加えたりしないことにあるはずだ.それにしても,こんなにまで素直さや素朴さのない人工的な女性をつくりあげたものは,いったい何なのだろうか.
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