現代のカルテ
第7次日韓会談
野口 肇
pp.48
発行日 1965年3月1日
Published Date 1965/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202936
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昨年12月3日,第7次日韓会談が本格的にはじまりました.日本側の首席代表はさきに死んだ杉道助氏にかわり,三菱電機会長の高杉晋一氏が当っています.この人は財界の長老で極右派と定評があります.明治維新で活やくしたあの高杉晋作と一字ちがいですが,血統も思想もまったくちがいます.日韓会談は1951年に開始いらい14年,世界に類のないながい交渉ですが,いまの佐藤政府はこんどこそと意欲にもえています.そして2月中旬に椎名外相の訪韓,3月には両外相会談,4〜5月妥結とスケジュールもはやばやときまり,いよいよ最終局面をむかえています.
ところがこの1月7日,外務省記者クラブで高杉氏が会見してしゃべった発言が明るみに出て,大きな波紋を起こしました.真相は,これに立ち会った外務省の役員がうろたえて記者たちに発表しないよう頼み,大部分は発表をさしひかえたが,共産党機関紙アカハタなど一部の新聞にそっくり公表されたのです.
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