書評
新谷 歩 著「今日から使える医療統計」
村岡 香織
1
1慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室
pp.960
発行日 2015年10月10日
Published Date 2015/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552200392
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本書は,週刊医学界新聞の連載が成書化されたものである.「Lesson」と銘打たれた章単位で読むことも,全体を通読して医療統計の全体像を把握することもできる構成となっているが,個人的には,初学者にとっては医療統計の最初の教科書として,すでに論文を読んだり書いたりされている方では知識の整理や新しい発見のために,一度通読することをお勧めする.
「序」に著者は,「統計とは,身近にある日常的に私たちが頭で考えていることを,データを使ってコンピューターに計算させているもの」と述べているが,文中にも,「回帰分析による補正」と似たことを行っている日常場面の例などが挙げられていて,「交絡」や「補正」といったそれだけ聞いてもピンとこない用語がすっと理解できる工夫がされている.日常生活での例や,過去の研究の実例が多く記載されていることで,初学者にとっては,「そもそも研究とは何か・研究によって何が明らかになるのか」といった根本的なことが理解でき,曖昧な臨床上の疑問や問題点を医療統計を使って解き明かしていく過程がイメージしやすくなっている.
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