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編集後記
pp.402
発行日 1998年4月10日
Published Date 1998/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108650
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・医学的な進歩があり,世間の理解が広がり,社会的援助が普及してきたとはいえ,痴呆老人・患者の在宅介護には深刻な現実がたくさんある.相変わらず介護を担うのは昔同様長男の嫁と年老いた妻,狭くて暗い日本家屋,一歩外に出れば車がひっきりなしに通る歩道のない道路.介護をするほうにもされるほうにものしかかってくる疲労感,孤立感と将来への不安.これは日本の特殊事情なのだろうか?たまたま試写会の切符をもらって見た「ユキエ」,邦画だが場面は米国,映画とはいえ彼我の差をみせつけられる.夫は事業に失敗し経済的に苦しいとはいえ,フツーの日本の家よりははるかに広い,庭も広い,環境もなかなか結構,徘徊場面も絵になる.妻を世話する夫は典型的なアメリカ人の男らしく妻を愛し,愛を語る.そして同居はしていないがいつでも面倒をみるよ,という孝行息子達.外国すべてよしなどという陳腐なことは言わないが,それにしても我が方の貧しさを感じさせる映画.今月のSweet Spot欄で二通先生が紹介している映画の話でした.
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