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編集後記
pp.786
発行日 1996年8月10日
Published Date 1996/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108181
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・昔の男は姿勢が良かったが,しなやかさには欠けていた,と思う.柔軟で,姿勢がいいといえば,露伴の娘,幸田文が思い浮かぶ.父親の教育よろしく顔も姿も凜として,立ち居振る舞いも確かそうで,なにより文章のいきが良い.「八月の檜は,意気たかい姿をしていた.まだ遠く見るうちから,木が活気あふれて立っていることが,よくわかった.近付いてみれば,どの檜もどの檜もが,意欲的に生きていることを示していた.」で始まる『ひのき』の文章などは,読んでいてこちらの気も引き締まって背中もシャンとして,元気が出る.そして何事にも優柔不断な私にはいい薬になる.これは,どちらかというと,齋藤論文に書かれている,広辞苑の「姿勢」の②のほうの説明「事にあたる態度」の問題のようだ.
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