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編集後記
pp.908
発行日 1993年10月10日
Published Date 1993/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107477
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・高度経済成長期,僕等は先を争うように地方から都会へと移ってきて,そして日本の発展を支えた.仕事は大変だったけれどがんばって,なんとか首都圏に小さな家を構えることもできた.生活もそれなりに落ちついてきて,たまにはこれが幸せかと思うこともある.でもいつも頭の隅にあって気掛かりなのは故郷にいる年老いた親のことだ.
・先の大戦では夫を戦地に送り出し,乳飲み子を育てながら家を守った.戦争も終わって平和な時がきたと思っていたら,今度は子どもが東京の会社にとられてしまった.残業とか,単身赴任だとかで大変そうだ.企業戦士と言うらしい.でも都会に小さな家も建て,私と一緒に住みたいという.体の動くうちはいいけれど,寝たきりにでもなったらここで一人でいるわけにはいかない.それならいまから行って,孫の面倒でもみてやろうか.
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