--------------------
編集後記
網元 和
pp.450
発行日 2003年5月15日
Published Date 2003/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102437
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
小児ではなくてこどもである.本特集のテーマに使われた「こども」という言葉には,医学モデルに集約される対象としての小児(対概念は成人や老人であろうか)のもつイメージの範囲を大きく超えていると思われる.いみじくも療育という語があるように.社会と教育の視点なしには,こどものリハビリテーションあるいは理学療法は齟齬をきたすのである.
この意味で本特集に取り上げられたそれぞれの論文は十分にこの視座を含むものとなっている.小池論文では,特に早期発見,早期療育の重要性と関連施策および地域における療育システムの概要と意義が述べられている.障害の多様化重複化を背景としてさらに進んだ療育システムについての提言が,医療モデルから生活モデルへの転換を要請しているとの指摘はよく理解できる.原論文では,脳性麻痺児の理学療法において最も注意すべき点として他動的運動に加え自発運動を準備することの重要性が強調されている.押木論文では,知的障害児の理学療法において発達過程に応じたステップが紹介されておりチームアプローチのもとでの方略が述べられている.榎・他論文では,小児整形外科的疾患の理学療法に関して特に側弯症に対するアプローチを詳細に述べていただいた.上杉論文では,小児神経疾患のうち先天性筋強直性ジストロフィー症例の症例を取り上げその理学療法の実際について述べていただいた.長期にわたる治療アプローチとその記録は多くの示唆をもたらすだろう.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.