増刊号 病理組織・細胞診のための日常染色法ガイダンス
5.アミロイドの日常染色法
ダイレクトファーストスカーレット染色
田村 邦夫
pp.728-730
発行日 2001年6月15日
Published Date 2001/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905872
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ダイレクトファーストスカーレット染色(direct fast scarlet stain;DFS stain)は本来,木綿染料であるが,病理組織染色においてはアミロイドを染める.コンゴー赤染色(Congo redstain)とほぼ同様の染色結果を示し,偏光所見も同様の偏光色を示す.皮膚アミロイドやアミロイド苔癬にコンゴー赤染色は染まりが悪く,DFS染色はこれらによく染まるといわれている.また,染色液の調製が簡単で短時間に染められることや,分別の難しさがなく,膠原線維などの共染が少なく,個人差の少ない安定した染色結果が得られる点で,アミロイド染色法としてはまずは試みるべき染色法である.
ただ,DFS染色はアミロイド染色法の中では新しく,広く知れわたっていないこともあって知見が十分に得られていない面がある.したがって,DFS染色で個々の陽性部でアミロイドかどうかの確認が求められる場合は,隣接切片でコンゴー赤染色を行って再確認し,さらに免疫組織化学的検索を行ってアミロイド蛋白を同定し,陽性部の信憑性を確かめたほうがよいと思われる.
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