書評
—超音波・細胞・組織からみた—甲状腺疾患診断アトラス
杉谷 巌
1
1日医大大学院・内分泌外科学
pp.593
発行日 2023年5月1日
Published Date 2023/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208995
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日本の甲状腺疾患診断学の到着点を示した必携書
「世界に誇る甲状腺専門病院」である隈病院は2022年,創立90周年を迎えた.同病院の病理診断科・科長である廣川満良先生がこのたび,『超音波・細胞・組織からみた 甲状腺疾患診断アトラス』を上梓された(執筆協力:樋口観世子氏,鈴木彩菜氏).廣川先生は1978年,川崎医大を卒業後,病理診断の分野で経験を積まれた.とくに1984年に参加されたJohns Hopkins大でのJohn K. Frost教授によるPostgraduate Institute for Pathologist in Clinical Cytopathologyにインスパイアされ,細胞診の世界にのめり込まれたという.2006年,隈病院に入職され,年間8000例の甲状腺細胞診と2000例の甲状腺手術標本の病理診断という圧倒的な経験を積まれるとともに,数多くのプライオリティの高い研究論文も発表され,甲状腺専門の細胞診・病理医として,その名を世界にとどろかせている.廣川先生はまた病理医や細胞診断士の育成にも尽力され,「神戸甲状腺診断セミナー」を毎年,企画・開催されてきたが,本書にはそのエッセンスが盛り込まれている.
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