ザ・トレーニング 精度管理法
4 一般
稲垣 勇夫
1
1木曽川病院検査科
pp.1041-1043
発行日 1983年11月1日
Published Date 1983/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202910
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一般検査領域において精度管理は生化学などに比してかなり遅れた状況にある.一般検査は尿をはじめ,糞便,穿刺液,髄液,消化液などを検体とし,定性または半定量的な検査が主体となり,古典的な検査法も今だに使用している状態である.古典的あるいは定性的および半定量的検査は技術者の主観すなわち経験や勘によって判断され,判定基準もことばとして明解であっても実際ではかなりあいまいであることが多く,再現性の低いのが当然とする風潮があった.そのため一般検査において精度管理がなじまなかったと考えられる.一般検査のうち尿検査はスクリーニング検査としてどの施設においても大量に行われているので,今回のトレーニングに取りあげてみる.
尿検査では試験紙を使用しているのがほとんどであり,定性,半定量的な結果として表現されている.定性,半定量的な検査においては正確度を追求することはやや困難であり,精密度と再現性の高いことが要求される.尿そのものが持つ特殊性すなわち多種類の成分の夾雑物であり,その濃度も多様であること,さらに保存のきかない点などが尿検査の精度管理を難しくしている.これらのことからみて,尿検査においては精度管理と言うよりもむしろ成績管理と考えるべきであろう.
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