トピックス
臨床検査のグローバルハーモナイゼーション
濱﨑 直孝
1
1長崎国際大学薬学部
pp.200-202
発行日 2014年3月1日
Published Date 2014/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543104198
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はじめに
1960年ごろから,生化学,免疫学,血液学など生命科学研究が盛んになり,その成果を利用することで,経験だけではなく臨床検査データを分析し,科学的に診断治療を行う医療環境が整備され始めた1).現在では,臨床検査データは医師にとっての重要な羅針盤となり,臨床検査データを有効に利用することなく医療を行うことは,目隠しをして車を運転するような危険な行為となっている2,3).
臨床検査測定値に関しては,患者に接して診断・治療を行っている医師などと,臨床検査検体を分析・定量している臨床検査関係者の間では,比較的最近に至るまでの長い間,その認識は随分と違っていた.患者に接している医師らは,臨床検査測定値の重要さは認識していても,それぞれの病院内の検査測定値が「あまり“ばらつかず”ある程度“正確”に測定されていれば」それぞれの患者の診断・治療には十分であり,その測定値が病院間や国内的・国際的に標準化(standardization)されていなくても何ら支障がないと受け止められてきた.
しかし,生命科学研究が盛んになり,科学的医療が浸透してくるにつれて,臨床検査測定値を判断基準とした診断や治療に関するガイドラインの設定などが行われ始め,臨床検査測定値の相互比較の重要性,言い換えれば,臨床検査測定値標準化の重要性が医療関係者に幅広く認識されるようになってきた.
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