増刊号 これから広がる生理検査・新たにはじまる生理検査
F 脳神経系検査
3. 長時間脳波検査法の基礎と臨床
久保田 英幹
1
1独立行政法人国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター・診療部
pp.1101-1110
発行日 2008年9月15日
Published Date 2008/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102222
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長時間脳波とは
睡眠時無呼吸などの診断を目的とした終夜ポリグラフも長時間脳波と言えなくもないが,通常,長時間脳波検査とは,てんかん発作を記録する目的に実施されるものを指し,記録時間は1~3日から2週間と記録の目的や患者の発作頻度によって異なる.てんかん発作の診断のためには,発作症状とそれに伴う発作時脳波の解析が非常に重要である.そのため長時間脳波記録では脳波のみならず,ビデオも同時に記録するビデオ・脳波同時記録が基本となる.したがって,本稿では,“長時間脳波検査”はてんかんの長時間ビデオ・脳波モニタリングを指す.
かつて脳波は紙にペンで書き出し,1台のカメラが脳波計を上から映し,もう1台がシールドルーム(外部からの電気的雑音を遮断した部屋)内の患者を映し,両者の映像をミキサーで合成し,ビデオテープに記録していたため,記録紙の巻き取り機の追加,定期的なテープの交換や解析時のテープの頭出しなど手間のかかる検査だったが,現在ではデジタル脳波計が普及し,映像もデジタルで記録するため,記録の実施およびデータ管理・解析は極めて容易となった.
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