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HCVコア抗原測定法の評価と厚生労働省ガイドライン
西川 洋子
1
,
入汐 弘美
1
1地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立急性期・総合医療センター臨床検査科
pp.896-901
発行日 2007年9月1日
Published Date 2007/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101836
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はじめに
国内のC型肝炎ウイルス(hepatitis C virus,HCV)感染者は150~190万人と推定されている.感染により8割がキャリア化し,その多くが慢性肝炎から肝癌へと移行する.肝癌の約75%はHCV感染によるものである.HCV感染を可能な限り初期に検出し診断を行い,治療によってウイルスを排除できるなら肝癌への進展も抑制できる.このため厚生労働省は2002年から「C型肝炎等緊急総合対策」の一環として,老人保健法による住民検診を始めた.これは40歳から5歳刻みで70歳までの節目あるいは節目外検診でHCV抗体をはじめとする血中の肝炎ウイルス検査を行うものである.2003年にはHCV抗原が追加され,図1のようなHCV検診の流れとなった.HCV抗原を測定するHCVコア抗原検査は簡便に低コストでHCVウイルス量を測定できるため,現在臨床検査の現場で注目されている1).また,HCV抗原はC型肝炎治療の標準化ガイドラインにもHCV RNAとともに掲載されている.すなわちインターフェロン(interferon,IFN)療法はウイルス量により異なるため,ガイドラインではこの高あるいは低ウイルス量の判別にHCVコア抗原検査が用いられている.本稿では,HCVコア抗原検査を中心に住民検診の流れ,HCV RNAとの関係,標準化ガイドラインへの適応について解説する.
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